2019年4月に始まった新しい在留資格「特定技能」。政府の方針では5年間で最大34万5,000人の外国人労働者の受け入れを行う予定の注目の制度です。
対象となっているアジア各国の中で最も多いのはベトナム人ですが、ミャンマー人が今後急速に増える見込みとなっています。
事実「特定技能」は日本語能力試験N4相当の日本語能力が必要ですが、2020年7月に行われる予定だった海外受講者数が、ミャンマー人はベトナム人の受講者を上回っていたことはその関心の高さを伺えます。
本記事ではミャンマー人の特定技能雇用主を望んでいる企業の方に向けて、特定技能とは何か、また技能実施制度の違いについて詳しく解説します。
特定技能とは
特定技能制度とは日本企業の人手不足を解消するために、専門的な知識や技術がない外国人も受け入れる仕組みのことです。
特定技能は一定条件下で転職も可能ですので、せっかく育てた人材が転職してしまう可能性があるものの、失踪の危険は少なくなります。
特定技能の職種は、14業種(うち特定技能2号は2業種)と決まっていますが、今後対応職種はどんどん増えていくことが予想されています。
※特定技能の職種については、「特定技能の職種1号全14種・第2号全2種公開します!」で詳しく解説していますので参考にしてください。
特定技能の中には、「特定技能1号」と「特定技能2号」がありますので、さらに詳しく解説します。
特定技能1号とは
特定技能1号という資格は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」のことです。
特定技能1号として日本で働くためには、
l 日本で3年間の実績のある技能実習2号からの移行か
l 特定技能測定試験に合格する
のどちらかが必要となります。
そのため即戦力のある働き手だけが、特定技能という資格を持っていることになります。
また日本語レベルは
l 日本語能力試験でN4以上か
l 国際交流基金日本語基礎テストに合格
が必要(技能実習2号修了者は免除)となりますので、ある程度の日常会話もできるということになります。
特定技能1号は1年、半年または4か月毎の更新が必要で、上限が通算5年となっています。家族の帯同は基本的に認められていません。
特定技能2号とは
特定技能2号は、「同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」です。
現在のところ建設業と2業職(造船・舶用工業)のみに許可されている在留資格ですが、2021年度から本格的に試験が始まりますので、今後の他の分野に拡大する可能性は十分にあります。
特定技能2号には3年、1年または半年毎の更新が必要ですが、在留期間の上限がないのが特徴です。条件を満たせば永住権も可能で、家族も在留資格がもらえます。
特定技能と技能実習の違い
特定技能と技能実習は似ているようで、目的が全く違います。
技能実習が、開発途上区域の発展のために日本の技術を教える「国際協力の推進」であるのに対し、特定技能は人材不足を補うための「外国人労働者」の資格です。
従って技能実習は単純作業ができませんが、特定技能は幅広い作業ができます。
さらに特定技能には次のようなメリットがあります。
- 転職が可能なので失踪のリスクが少ない
- 外部団体を挟まなくてもいい
- 在留期間は最大5年で(2号は上限なし)手続きが少ない
現実問題として実習生も人材不足を補うために雇う企業も多いと思いますが、いずれにしても実習生と特定技能との目的の違いをはっきりしておくことは大切です。
まとめ
今回は特定技能について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
最後に技能実習と特定技能の制度をまとめます。



引用元:法務省「技能実習と特定技能の制度比較(概要)」より
http://www.moj.go.jp/content/001331344.pdf
人にもよりますが外国人は特定技能が、企業は技能実習を欲しがる傾向があります。
最もおすすめなのは、技能実習1号→2号→3号→特定技能と移行していく方法で、このようにすれば最大10年間働いてもらうことが可能になります。