「実習生が失踪してしまった」
「実習生が犯罪を犯してしまった」
このようなニュースを聞くと、企業の側としては外国人技能実習生を雇うことに不安を感じるかもしれません。
しかし問題が生じることには必ず原因があり、原因を知ることは対策への第一歩となります。
本記事では外国人技能実習生が発生しうる問題点の原因についてまず解説し、その後対策法を紹介します。
外国人技能実習生の原因と問題について
外国人技能実習生が発生しうる問題とその原因は次のようなものがあります。
- 賃金と労働環境
- 職場におけるハラスメント
- 言語の壁
- 実習生の失走
- 実習生の犯罪
これらはそれ自体が問題であったり原因であったりします。それぞれを詳しく解説していきます。
賃金と労働環境の問題
実習生で発生する問題の中で最も多いのが、賃金と労働環境に関するトラブルです。報告されているトラブルの中には次のようなものがあります。
- 契約の時に言われた給料が大幅に下回っている
- 残業時間120時間越えしている
- 時間外労働の手当が時給300円程度しかもらえない
- 休日も仕事に行くよう強要された
実際厚生労働省による2020年8月の報告によりますと、違法残業や低賃金などの労働基準関係法違反が5,672事業場のうち4,004事業場認められたということです。
実習生のほとんどはお金を稼ぎたいと思っているので、多少残業時間や休日出勤が増えても給料さえきちんと支払してくれれば喜んで働いてくれます。
もちろん給料については実習生側が過剰に期待していることもありますので、一概に企業の責任であるとは言えませんが、今の給料で外国人技能実習生がどれほど満足しているかを企業側が理解しておく必要があるでしょう。
職場におけるハラスメント
職場におけるハラスメントの中で特に多いのが「セクハラ」と「パワハラ」です。言葉の暴力やセクハラだけではなく、「実際に殴られた」、「お尻を触られた」などのトラブルも報告されています。
こうした被害は日本人従業員とは比べ物にならないほど多く、残念なことに外国人技能実習生が声をはっきりと出せないことをいいことに企業側の責任者がやりたい放題行なっているところがあります。
さらには外国人実習生ならではの次のような問題も報告されています。
- 労災隠し(治療をさせてもらえない、保険を使わせてもらえない)
- パスポートや通帳を取り上げる
- 帰国を強制させる
こうしたことは犯罪ですので企業側がこのようなトラブルを起こさないようにしっかりと管理しておく必要があります。
言語の壁による意志の疎通
低賃金や労働環境など表面化しやすい問題に隠れていますが、実際のところ問題の背後にあるのが言語の問題であることは少なくありません
企業側に言いたいことがいまいち伝わらないこと、また実習生側もストレスや問題が起きた時に相談でる相手がいないとストレスや不満が徐々に蓄積していきます。
言語の壁があったから失踪したという人はあまりいないかもしれませんが、言語の壁が問題の根本原因となっている人は少なからずいることでしょう。
ベトナム人実習生の失踪
法務省によると2019年度の技能実習生の失踪者数は6,105名と年々増加しています。国別に見てもベトナム人失踪者数はダントツの 1位。2位の中国人1,330人を大きく引き離しています。
失踪の原因には次のようなものがあります。
- 送り出し期間による手数料等の課題徴収
- 転職したいのに合法的な理由で転職ができない
- 職場環境が酷すぎる
もちろんこういった原因以外にもただ本人が夢をみていただけで実際に日本に来て現実に直面した、あるいは最初から失踪するつもりで日本に来たといった理由もあるでしょう。
ベトナム人実習生の犯罪
法務省によると2019年度の技能実習生の刑法犯検挙件数は3,021人とやはり国別でダントツの 1位。2位の韓国人1,795人を大きく引き離しています。
かつては外国人の犯罪というと中国人という印象が多かったと思いますが、最近では来日ベトナム人に対して印象を悪くしている人が増え始めています。
最近では技能実習生として来日したグエン・ドック・チン容疑者が高級ブドウ「シャインマスカット」150房を盗んだ疑いで逮捕されています。グエン容疑者はまた北関東で相次いだ家畜窃盗事件に関与した可能性もあるとして捜査が進められています。
容疑は「みんなで山分けして食べるため」これは決して許される理由ではありませんが、ベトナム人の犯罪のほとんどは凶悪犯罪ではなく窃盗であることは注目に値します。
それで次のような図式が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
労働環境の悪さ→失踪→犯罪
問題を発生させないために
外国人技能実習生の問題をゼロにするのは現実的ではありませんが、受け入れ側である私たちが少し意識するだけでかなりの程度防ぐことができます。
問題が起きた時に何をするかよりも、問題を発生させないためにすることが大切です。関係するのは次の3つの機関です。
- 受け入れ機関や管理団体の規制強化
- 企業の管理やコミュニケーション
- 送り出し機関の指導
監理団体(組合)について理解する
監理団体もしくは組合とは平たくいうと、実習生を受け入れる機関が何をしているかを監理する団体のことです。
以前は誰でも監理団体になれましたが、現在は組合に対する規制が強化されていてしっかりと監理できる団体のみとなりつつあります。
技能実習生の不満や悩みを母語で打ち明けることができるようになっていますので、組合を通して問題を解決することができます。
技能実習生が母語で相談でるのは他にも次のような機関があります。
- 外国人技能実習機構(OTIT)
- 公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)
問題が生じそうな時はこうした機関と相談してできるだけ早めに問題を解決をしておきましょう。
企業が実習生とのコミュニケーションを含む管理を徹底する
日本語をよく喋っているベトナム人でも意外と聞き取りができていなくてコミュニケーションがしっかり取れていないことがあります。
企業側がベトナム語を学ぶことは少し難しいですが、少なくても外国人がわかりやすい日本語をゆっくりしゃべってあげましょう。
特に実習生はベトナムで日本語を勉強した時標準語で学んでいますので、地方の企業は大事なことは標準語でしゃべってあげるようにしましょう。
いずれにしても受け入れる側が相手を気遣ってあげたり理解してあげようとすればその態度は実習生に必ず伝わります。
送り出し機関
実習生を選ぶ上で一番大切なのは、実習生が日本に来る前の段階、つまり良い送り出し機関を選ぶことが大切です。
良い送り出し機関とはただ実習生を紹介するだけでなく、日本語の教育をしっかり行い、日本の生活に馴染みやすく、即戦力として働けるように教育してくれます。
また失踪などのトラブルが起きた時、送り出し機関が必要な情報を提供してくれます。
ベトナム人実習生の良い送り出し期間の中には次のような機関があります。
- ハインデコ
- DAIICHI
- SMN
- ティエンロン
- ホアンロン
ミャンマー人実習生の送り出し機関なら上記の条件を全て満たしているSMMにお任せください。
【まとめ】外国人技能実習生問題は解決できる
今回は外国人技能実習生の問題について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
この記事のポイント
- 外国人技能実習生の問題で最も多いのは低賃金と労働環境
- 低賃金と労働環境が失踪や犯罪
- 問題が起きないためにしっかりと相談できる環境を作ってあげる
最近は実習生について悪いニュースを聞く機会も多いかもしれませんが、実習生のほとんどは真面目に仕事をしたいという人ばかりです。
本当に良い送り出し機関を選べば、大きな問題はほとんど起きませんし、仮に起きたとしても迅速に対応してくれます。