「悪いことだとわかっていたが家族を養うために日本にいて働き続けるしかなかった」
失踪する実習生の多くはこのように口走り、そして失踪します。
せっかく雇って育てた実習生が失踪するというのはとても残念なことです。
しかし実習生が失踪する理由はほとんどの場合共通しています。そして失踪する理由を理解していると対応策がみえてきます。
今回は実習生が失踪する代表的な理由を紹介し、失踪を防ぎ、リスクを減らすための方法について解説します。
実習生が失踪する理由
実習生が失踪するのには、次のような理由があります。
- 賃金が少ない
- 労働環境が悪い
- パワハラやセクハラ問題
- もっと日本で働きたくなる
- 悪質なブローカーに騙される
それぞれの理由について詳しく解説します。
賃金が少ない
実習生が失踪する理由のダントツが低賃金となっています。
実習生の多くは日本で働くために親族に借金をしています。またわずかな給料の中から毎月仕送りする人も多くいます。
こうした環境を考えると、月10万円以下の給料はベトナムやミャンマーにすると大金ですが、いざ日本で生活してみると非常に大変であることがわかり、もっと楽に稼げるところに行こうと失踪してしまうようです。
労働環境が悪い
祖国でも休みなしの長時間労働は当たり前ですが、日本で労働環境が悪いというのはレベルが違います。
例えばベトナムでは週7日休みなしで働いている人もたくさんいますが、長いお昼寝タイムがあったり仕事中でもスマホをいじったり寝転んだりと自由に仕事をしています。また遅刻するのは普通で休みたい時にはいつでも休めます。
一方日本では仕事している間は常に気を使っていなければならず、それが休みなしの長時間労働となると慣れない言語や文化も重なって心身ともに疲れ果ててしまいます。
パワハラやセクハラ問題
日本人として恥ずかしいことですが、東南アジア人だということで軽視することが、パワハラやセクハラに繋がることがあります。
自分は軽視しているつもりはないと思っていても、心のどこかで軽視しているなら日本人には絶対できないことをベトナム人やミャンマー人にしてしまうことがあります。
ひどい場合だと実際に暴力を振るわれたり、職場で事故に遭っているのに実費で支払わされたりするという人もいます。
こうした状況でも「仕事を辞めるということは帰国しなければならない」ということなので、借金を背負ったまま帰国するよりは失踪という選択肢を選んでしまいます。
もっと日本で働きたい
実習生は第一号(1年)、第二号(合計3年)、第三号(合計5年)と在留期間が決まっています。
全ての実習生が5年間働けるわけでなく、2号や3号に移行するためには特定の職種であることや、試験に合格する必要があるなど求められることがあります。
実際失踪して不法滞在をしてその後日本に強制送還されていても、本人は犯罪を犯したという自覚はなく現地で貯まったお金で会社を始めたり立派な家を買ったりして悠々自適な生活をしている人もいます。
悪質なブローカーに騙される
このように労働条件が悪い、もっと働きたいという心理を巧みに利用して、悪質ブローカーが実習生に働きかけることが最終的に失踪の原因とつながります。
もっと楽に稼げるところがあるとSNSで働きかけて、餌食にするのです。実際に仕事を紹介することもありますが、多くの場合違法行為をさせます。
なおも悪いことに「楽に稼げるところがある」というのは嘘で、以前の仕事場から逃げ出してしまったものの仕事がない実習生は犯罪に手を染めてしまうこともあります。
失踪してしまった場合にやるべきこと
どんなに対策をしても、失踪してしまう人は失踪してしまいます。もし実習生が失踪した場合は次の点を行ってください。
・地方入国管理局(通称入管)で失踪届を提出する
・監理団体に連絡して必要な指示を仰ぐ
・連絡が全く取れない場合事件の可能性もあるので警察への届けを行う
今後実習生の失踪が少なくなる
2019年11月12日に出入国管理庁は、失踪防止策として法律を改定し、失踪の原因が不明でも送り出し機関や監理団体は一定機関、あるいは無期限新規受入停止となリます。
このような措置になったのは、「最低賃金違反」や「契約賃金違反」など送り出し機関や監理団体の不正行為が黙認されていたからです。
法律の改定により悪質な送り出し機関や監理団体が、実習生を失踪に追い込む状況が少なくなることが予想されます。
【まとめ】失踪を防ぐために必要な3つのこと
実習生が失踪するのには理由があることがわかりましたが、これらの点を考えると失踪を防ぐためには次のような点を行う必要があります。
1. 良い送り出し機関を選ぶこと
2. 良い監理団体を選ぶこと
3. 企業の方達が失踪原因のトップである適切な給与を与える等、実習生のケアをしっかりすること
この記事を読んでいるという企業の皆様は、実習生についてよく理解されていてしっかりケアをしてあげようとしていることと思います。
また良い送り出し機関は良い監理団体を選んでくれますので、ここで一番大切なのは良い送り出し機関を選び出すということになります。
失踪対策をしっかりとしている良い送り出し機関は次のことをしています。
・実習生となるミャンマー人を選ぶときは、採用の基準を高くする
・実習生の家族とも面談し、家族・地方自治体・弁護士から逃亡防止約定を取得する
・実習生の逃亡防止約定のプロファイルを地元の警察に渡し、実習生の居住地域で監視、管理を徹底する
・日本に実習生管理の担当者を配属し、問題が起きた時に速やかに対応させる
・信頼性のある監理団体と契約する
SMM(シェエマンダラーメイサービス株式会社)は、上記の全てを満たしていますので、可能な限り失踪を防ぎ、仮に起きたとしても速やかに対策をし、企業の皆様に迷惑をかけることはありません。