技能実習制度とは安い労働力で人材不足を補うのではなく、国際協力の推進ためのものです。
実際のところ企業によって技能実習制度を利用する目的も違いますが、まず技能実習制度とはどんな制度か、また受け入れをするために何をするべきなのか大まかに流れを知っておくことは大切です。
今回は外国人技能実習生について全く知らない人に向けて、外国人技能実習制度の目的と種類、そして雇用までの流れなど基本的なことについてわかりやすく解説します。
外国人技能実習生とは人材育成制度のこと
外国人技能実習生とは外国人技能実習制度を利用している労働者のことで、平たくいうと外国人(主に新興国)の人材育成制度のことです。
目的はあくまで日本の技術や知識を新興国の発展に寄与するための国際協力の推進であり、労働力不足を補うための制度は「特定技能」というものがあります。
メリットには次のようなものがあります
1.意欲や向上心が強い若い人材による企業の活性化
2.日本語能力を含む基礎技術を習得済みの人材を雇用できる
3.職場の改善や生産性の向上
4.企業の国際化、海外展開を視野に入れることができる
5.優秀な人材を安定して雇用できる
現実問題として企業の経営者としては労働力の確保も視野に入れていることと思いますが、いずれにしても技能実習制度の本来の目的について知っておくことは大切なことです。
3種類ある技能実習制度の区分
外国人技能実習生には、次のような三つの区分があります。
これらは自動的になるものではなく試験や経験が必要です。さらに職種によっては二号や三号に移行できないものもあります。
技能実習一号
技能実習一年目の実習生のことです。日本に入国して最初の2ヶ月は座学で講習があり日本で働くための基本的な点について学びます。2ヶ月の講習が終わると受け入れ企業との雇用関係が発生します。
技能実習二号
技能実習一号で約1年働いた後技能実習第二号となり、さらに2年間(2年目、3年目)働くことができます。
ただし第二号になるためには次の条件が必要です。
- 技能実習一号が終了していること
- 技能評価試験(学科・実技)に合格していること
- 移行対象職種であること
技能実習三号
技能実習第二号で2年間働いた後、技能実習第三号となり、さらに2年間(4年目、5年目)働くことができます。
ただし第三号になるためには次の条件が必要です。
- 技能実習二号が終了して1ヶ月以上帰国していること
- 技能評価試験(実技)に合格していること
- 受け入れ企業と監理団体が共に優良認定を受けている
監理団体型と企業単独型
技能実習生を受け入れる際には、「企業単独型」と「団体監理型」という二つの方式があります。
それぞれを詳しく解説します。
監理団体型
組合などの非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、その組合等に加入している企業で技能実習を行う方式です。
実習生は監理団体を通して企業に派遣され、認可法人外国人技能実習機構への実習計画申請や入国管理局への在留資格証明申請などの手続きは監理団体が行ってくれます。
複雑な手続きは管理団体が行ってくれますが、技能実習生への支払いに加えて、組合への費用も発生します。
多くの企業が技能実習生の受け入れをすることができるため、現在行われている技能実習の多くがこの団体監理型で実施されています。
企業単独型
企業単独型とは監理団体を通さないで直接技能実習生の受け入れを行うことで、監理団体に支払う管理費を払わなくてすむためコストを削減できます。
一方企業単独型の受け入れは、海外に支店や現地法人がある場合のみ可能であるなど制限が多く、入出国のための手続きや、講習などを全て自分たちでしなければなりません。
そのためほとんどの企業は、監理団体型で申し込みます。
技能実習制度の流れ
実習生はすぐに面接して雇用できるわけではなく、次の3機関がそれぞれ手続きが必要です。
- 実習実施者(受入企業)
- 監理団体(組合等)
- 送り出し機関(海外から日本へ人材を派遣する機関)
受入企業の視点で申し込みから雇用までの流れを大まかに説明します。
申し込み(2〜4週間)
受入企業が希望人材の条件を提示すると管理団体は送り出し機関に提示し、送り出し機関は希望にあった人材を候補者として紹介します。
面接(3ヶ月半〜10ヶ月)
送り出し機関から紹介されたいく人かの候補者を受入企業と管理団体が面接をします。現地面接をする場合もあればSkypeやZoomを通して行う場合もあります。
面接が決まれば監理団体が必要な書類の作成を行い、送り出し機関は健康診断などを実地し、採用者に告知します。
その後送り出し期間は日本語教育や職種にあわせた訓練を3ヶ月〜6ヶ月行い、必要書類を監督省庁や管理団体に送付します。
入国〜雇用まで
実習生が入国すると監理団体が1ヶ月間の日本語を中心とした直前講習をします。
1ヶ月の講習終了後受け入れ企業との雇用が発生し、技能実習第一号となります。
第一号(1年目)監理団体が1ヶ月に1回定期巡回を行います。試験等に合格し、第二号(2〜3年目)になるは3ヶ月に1度の定期巡回となります。
技能実習生の受け入れ人数枠について
技能実習第一号の受入人数枠があり、それは受入れ先の企業の常勤職員総数(雇用保険に加入している社員)によって決まります。
常勤職員総数 |
技能実習生の受入可能人数 |
301人以上 |
常勤職員総数の20分の1 |
201人以上300人以下 |
15人 |
101人以上 200人以下 |
10人 |
51人以上 100人以下 |
6人 |
41人以上 50人以下 |
5人 |
31人以上 40人以下 |
4人 |
30人以下 |
3人 |
2人以下 |
受け入れ不可 |
この他にも優良認定を受けると人数枠が倍になるなど、技能実習生受入人数枠を増やせる方法はいくつかあります。詳しくは「外国人技能実習生を受け入れることができる人数とは?」を参照ください。
まとめ
今回は外国人技能実習生について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
外国人技能実習制度は海外の優秀で意欲的な若者を雇うことができ、外国人も技能を学んで祖国の発展に寄与することができるwin-winな関係といえるでしょう。
外国人の中でもとりわけ注目を浴びているのがミャンマー人です。興味がある方は「技能実習生としてミャンマー人が人気あるのには理由があった」をお読みください。